研究概要 |
本研究課題は,平成3年〜平成4年度の継続であり,次の研究目的に従って実施した。 1.ベクトル制御用ブラシレス自励形半速同期電動機の設計 メンテナンスフリーの可変速駆動システムは,電動機とインバータ結合により実施される。適用電動機の回転子は,回転子上に単相短絡巻線のみを設けた構造で,固定子巻線に静止磁界を重畳して同期速度の半分でトルクを発生する半速同期電動について種々の検証を行った。静止磁界重畳方式として,自励形以外に他励形および誘導起電力利用自励形についても検討し,特に自励形はベクトル制御用電動機として有用であることを電気学会に公表している。種々の回転子の最適設計については,久留米高専紀要に公表した。さらに,研究中に開発したブラシレス単相同期電動機は,現在特許申請中であるが,本電動機もベクトル制御用電動機として適用できることが判明した。 2.自励形同期電動機のベクトル制御への適用 (1)電圧形PWMインバータ回路設計インバータ主回路にはIGBTを使用し,正弦波PWMパターン作成には16ビットマイクロコンピュタにより,クイックモーションソフトウェアを採用して簡素化を達成した。始動に際しては,同期式と非同期(誘導機)を検討し,同期式が実用的であることが判明した。フィードバッグ回路は,半速論理回路とロータリエンコーダの採用により高精度の制御性能を実現した。 (2)ベクトル速度制御の実験結果ブラシレス自励形半速同期電動機は,原理的に強力な誘導機トルクを発生し,同期始動特性は良好である。また,可変速特性は従来のすべり周波数制御あるいは無整流子電動と同等の特性を示すが,より詳細な検討は今後も実施する予定である。以上の研究成果は,久留米高専紀要に公表した。
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