研究課題/領域番号 |
03555059
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内山 晋 名古屋大学, 工学部, 教授 (40023022)
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研究分担者 |
神保 睦子 大同工業大学, 材料科学技術研究所, 講師 (00115677)
綱島 滋 名古屋大学, 工学部, 教授 (80023323)
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キーワード | 超高周波帯 / 磁性薄膜 / 透磁率 / ストリップライン |
研究概要 |
磁気記録の分野においては、書き込まれた記録の読み出しの高速化が進められ、磁気ヘッドの動作周波数領域は10MHz以上の高周波となってきている。そのため、磁気ヘッド材料としての軟磁性薄膜の評価には、高周波領域での透磁率の測定が重要である。また、記録密度の高密度化のため記録媒体の高保磁力化、薄膜化が進んでおり、ヘッド材料は飽和磁化(Bs)の高い材料が要求されている。 今年度は高Bsの期待できるFeCo系多層膜を作製し、昨年度購入したRFインピーダンスアナライザを用い平板コイルによって透磁率を測定した。即ち、組成の異なるFeCo合金(結晶磁気異方性が大きく磁気歪が零のFe_<96>Co_4,および結晶磁気異方性が小さく磁気歪が大きいFe_<70>Co_<30>)とZrを積層し、FeCo層厚、Zr層厚を変化させ、その透磁率を測定した。その結果Fe_<96>Co_4/Zrでは、成膜直後では約1000の透磁率を示すが、熱処理とともに単調に減少し、Fe_<70>Co_<30>/Zr膜では、成膜直後はFe_<96>Co_4と同程度であるが、熱処理とともに増加し、400℃熱処理後では1500〜2000の透磁率を示すことがわかった。またFeCo層厚の薄い[Fe_<70>Co_<30>(2.5nm)/Zr(1.2nm)]膜では、400℃熱処理後4000という高い透磁率を得ることができ、さらにこの透磁率の周波数特性は、200MHzまで一定であることがわかった。このような高い透磁率を得ることができた原因は、熱処理中に磁場をかけているにもかかわらず、膜の一軸異方性が減少していくことによるもので、このメカニズムについては現在検討中である。以上のように、FeCo系多層膜では、組成により軟磁気特性が大きく異なることがわかった。
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