研究概要 |
チョクラルスキ-法による四ホウ酸リチウム(Li_2B_4O_7)単結晶の高速育成を試みた。結晶の重量の1次,2次微分量があるしきい値を越えたときに高周波加熱入力を増減するアルゴリズムを有する結晶径自動制御をとり入れる事により,不透明な気泡リングやクラックのない〈110〉方位の単結晶(直径20mm)を2.4-3.0mm/hrの育成速度で歩留り良く得ることに成功した。またるつぼ径150mmの大型引き上げ装置により,最大径80-90mm,長さ100-140mmの気泡のない単結晶が0.4mm/hrの引き上げ速度で再現性良く得られた。得られた結晶の擬依弾性表面波の伝搬特性の理論解析と実験結果との対比・検討により(0°,75°,75°)基板は結合係数が大きく,遅延時間温度係数の小さい優れた伝搬特性をもつことがわかった。また90MHz帯の表面弾性波(SAW)共振子,国内コ-ドレス電話用として開発した380及び254MHz帯のSAWフィルタを使用した小型軽量SAW分波器,さらに900MHz帯のSAW共振子フィルタの作製を行った。さらにブリッジマン法によるLi_2B_4O_7単結晶の育成を試み,得られた52mm径の単結晶を用い380MHz帯のSAWフィルタの試作を行った。 Li_2B_4O_7で得られた大型単結晶育成技術の知見を生かし,圧電効果だけでなく光誘起屈折率効果を有するLiNbO_3やBaTiO_3単結晶の引き上げを行った。直径20mmのLiNbO_3単結晶が5.3mm/hrの育成速度で得られたが,Feをド-プすると3.1-4.0mm/hrと育成速度は低下した。BaTiO_3に関してはTSSG(Top Seeded Solufion Growth)法により,約1400℃で育成速度0.2mm/hr,回転数17rpmの条件で15mm角程度のクラックのない単結晶を得ることに成功した。得られたLiNbO_3(Feド-プ)やBaTiO_3単結晶を用い,光誘起屈折率効果を用いた2光波及び4光波混合による位相共役波の発生や圧電効果との相互作用,さらに光連想メモリ-等の基礎実験を行った。
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