研究概要 |
表面汲デバイスの多用化、高機能化、高周波化に対応して、表面波、電気機械結合係数(Rs^2)が大きく、かつ遅延時間温度係数(TDC)が小さい表面波及びバルク素子材料として有望な四ホウ酸リチウム(Li_2B_4O_7)単結晶の育成と特性評価を行った。 単結晶育成には、高周波加熱式チョクラルスキー法を用い、単結晶育成速度、結晶回転数、ADC(Automatic Diameter Control:結晶径自動制御)の制御方法等を育成パラメータとした。とりわけADCの採用によりLi_2B_4O_7結晶育成において気泡やクラックの発生を防ぐための臨界結晶回転数の最適化を行い、最適回転数38.5rpm、臨界回転数35rpmで育成速度が3mm/hと従来より高速で透明な単結晶(直径20-28mm程度)を歩留りよく引き上げることに成功した。また大型単結晶引き上げ装置(共同研究グループ)を用いると直径80-90mmと大口径のものが得られた。 理論的解析及び実際の振動子の作製により、Li_2B_4O_7単結晶の厚みすべり振動、厚み縦振動の周波数定数、直列共振周波数の基板切断方位依存性を明らかにした。またオイラー角(入,90°,90°)表面波伝搬特性を明らかにし(45°,90°,90°)が遅延時間温度係数が小さく優れた特性をもつことを示した。さらに(0°,75°,75°)基板で優れた伝搬特性を有する擬似表面波の存在が確認された。Li_2B_4O_7を用いたSAWフィルタ分波器(380MHz,254MHz帯)や900MHz帯のSAWフィルタ等も作製した。 Li_2B_4O_7単結晶育成で用いられた高品質単結晶育成技術を用い、ニオブ酸リチウム(LiNbO_3)及びチタン酸バリウム(BaTiO_3)単結晶の育成を行い、光励起屈折率効果やそれが圧電振動に及ぼす影響、さらにホログラムメモリへの応用に関しても研究を行った。
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