研究概要 |
平成3年度の成果として,FeSi_2熱発電素子の劣化の原因は,FeあるいはSiの酸化およびFeSi_2→FeSi+Fe_2Si_5の相変態であることがわかった。平成4年度は改善策とし焼結体の高密度化,組成の均一化を図った。さらに第2の添加元素ボロン(B)のドーピング効量を調べた。又高温端と低温端の温度差を一定とし,熱発電素子の最適形状について検討した。 (1)焼結体のキレツ,酸化現象は密度90%以下の試料で見られた。 (2)遊離シリコンは酸化現象を誘発し,熱発電素子の故障現象につながった。 (3)Fe_<1->xMnxSi_2,Fe_<1->yCoySi_2にボロン(B)を添加した結果,耐熱衝撃性が良くなった。 (4)熱発電素子の相対熱電能,熱コンダクタンスおよび内部抵抗をそれぞれαpn,K,rとすると,性能指数Zはαpn^2/(Kr)で表わされるのでKrが極小になるような形状が最適となる。Kr=(KpSp/lp+KnSn/ln)(lp/σpSp+ln/σnSn)であるから(Sp/Sn)で微分して零とおくとKpσp/(Knσn)={Snlp/(Spln)}^2の条件が得られる。lp=lnとするとSn/Sp={Kpσp/(Knσn)}^<1/2>となる。 なお熱発電素子の温度分布に対する形状の変化は現在検討中である。
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