研究概要 |
平成4年度は、1)複合多重要素プロセッサにおいて並列処理管理を行なう管理プロセッサが実行する並列処理管理カーネルのアーキテクチャのさらなる検討と実現、2)並列処理管理カーネルを実行するのに適した管理プロセッサのメカニズムの評価を行なった。1)並列処理管理カーネルは、いわゆるオペレーティングシステムの核に相当するが、特に負荷分散とスケジューリングに重点を置いているのが特徴である。負荷分散処理の一部である動的負荷分割を担い,並列度等による分割の判断をして,過剰な並列性を抑制し,通信量を低減させ、スケジューリングでは,ヒープメモリ残量や並列度に応じた動的な優先度,そして,実行開始猶予時間を導入する。評価を行なった結果,並列性が要素プロセッサ数を大きく上回る場合は動的負荷分割が,それほど大きく上回らない場合は静的負荷分割が,それぞれ有効であり,両者を複合させるのが最も有効であることがわかっているが、本年度はこれを実際の並列計算機ハードウェア上に実現する作業を行なった。このように実現して並列処理管理カーネルの評価は今後の課題となる。2)次に、すでに昨年度提案済みの、レジスタウィンドウの管理アルゴリズムを工夫することによって、コンテクストスイッチを高速化する手法について、その実現と、性能の評価を行なった。本手法では,レジスタ上に異なるスレッドのウィンドウが混在するのを許すことによって,コンテクストスイッチの際に,全てのレジスタを退避/復帰する必要をなくしたものであるが、実際の並列計算機ハードウェアを用いて、これを実現し、性能上大きな効果があることを実測により確認することができた。
|