研究概要 |
画像デ-タベ-スシステムは,利用者とシステムとの間に視覚的なインタ-フェ-スを備え,優れたコミュニケ-ションおよび記録のメディアである視覚的な情報を大量に蓄積・管理して,利用者が求める情報を効率よく提供することが期待される。現在までにリモ-トセンシング画像,医用画像,文書画像,地形図などを対象として,文字・数値型デ-タ向きのデ-タベ-スに画像デ-タを統合した画像蓄積・検索システムが提案されてきた。視覚的な情報を多く含む絵画等の画像デ-タに対しても同様なシステムが構築されているが,この種の画像デ-タに特徴的な画像内容に依存した検索手法を実現するシステムについて検討された例は少ない。本研究の目的は,一般画像からオブジェクトを抽出して画像内における空間的な配置関係を把握する手法を確立すること,さらにこの情報をデ-タベ-スの属性に加えてオブジェクトの空間配置の類似性に基づく画像の内容検索を実現することにある。 本年度は画像デ-タベ-スに対する検索インタフェ-スについての検討進め,従来の様なキ-ワ-ド方式ではなく,画像のオブジェクトフィ-チャによる内容検索的なアプロ-チについて検討した。生体の視覚系には,ある条件のもとで実際の物理刺激とは異なった見え方を示す特性例えば,水墨画や点描画などでは,同じ輝度でも周囲の輝度刺激により見かけの明るさが違ったり実際には存在しない図形や輪郭線を知覚するという現象がある。実際に,水墨画を対象としてシステムを実装し,このような視覚特性の一つである明暗強調により生じる明暗差が効果的な表現法となっていることを検証するとともに水墨画画像デ-タベ-スに対し本研究の有効性を確認した。
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