短波長領域でのLAMIPOLの高性能化を探究した結果、従来のLAMIPOLよりもはるかに高性能かつ広帯域にできる方法を見いだすことができた。以下が新たな成果である。 1.金属と半導体との複合超薄膜による高性能化 半導体(ゲルマニウム、シリコン)薄膜中に島状の金属(アルミニウム、銀、金等)を形成することにより、短波長領域における性能指数(透過波と遮断波との減衰数の比)を従来の10倍以上にできることを見いだした。次年度に実験的検証とLAMIPOLの試作を行う予定である。 2.半導体の金属を添加した超薄膜による高性能化 ゲルマニウムに金属を添加した超薄膜が、複素誘電率の実部・虚部ともに大きい光学的性質を有することを初めて見いだした。これは、高周波スパッタリングに金属と半導体との複合ターゲットを用いて成膜した薄膜の光学特性を調べた結果判明した。金属としては代表的なアルミニウムと、身近で耐腐食性に優れたステンレスを用いた。 LAMIPOLの特性を計算した結果、短波長から長波長領域にわたり、性能指数が300以上もあることが分かった。即ち、一つの材料で全波長域にわたり高性能なLAMIPOLを実現できる方法を見つけることができた。従来は短波長領域で性能指数が200程度、しかも波長領域により素材(短波長でゲルマニウム、長波長でアルミニウム)を使い分ける必要があった。次年度にこの新LAMIPOLの製作と実装実験を行ない、実用化を達成させる予定である。
|