研究概要 |
平成3年度の研究として、3原色レ-ザ光の安定的発生、実用化を主目的に同時多波長(1〜3波長)レ-ザパルス光発振につき、単独および混合色素系に関する理論的、実験的研究を行った。実験において色素励起用光源として、特に多波長レ-ザ光発生用に開発した、高効率、高エネルギ-窒素レ-ザ(繰り返し0.4pps,電圧15KV,窒素ガス流量10l/minで4.6mj,0.12%)を継続して使用したが、高エネルギ-励起用光源として、Nd-YAGレ-ザヘッド(コンテニュアム社)および分離器(ModelWSP-1)を購入、新しい励起用光源システムの構成を行った。これにより基本波1064nm、繰り返し10ppsで320mj、第4次高調波266nmで40mj、パルス幅20nsの励起が可能となった。今期の実験は、殆ど窒素レ-ザ励起により行ったが、この励起での同時発振は、短波長の青色領域ではCoumarin460(C-460)、緑色領域ではDisodium Flourescein(DF)、長波長の赤外領域ではRhodamin610および640の色素混合系が有効である。これら混合色素系の色素の選択は、それぞれ単独での最適濃度の導出、利得計算および実験値との比較により発振しきい値濃度を算定して行ったが、これら混合色素系の使用により、3原色レ-ザ光の同時発光は、常時ほぼ安定した状態で得られるようになった。これは実用的な面で期待出来るものである。特に色素循環方式の採用で、寿命の大幅な増大を得たことは大きな成果といえる。混合色素系のレ-ザ発振では、単独色素の場合に比べ、赤外領域で発振波長の単波長側へのシフトなど特徴ある現象がみられたが、これは混合色素内でのエネルギ-移動に関係する本質的な現象である。これらの基本特性の把握のため、単独および混合色素系の吸収、蛍光スペクトルおよび混合色素系の励起波長別蛍光スペクトルの測定を引続き平行して行い、今後の研究進展の基盤となる重要なデ-タを蓄積し得た。
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