研究概要 |
本研究の最終年度では、地中レーダシステムの高性能化のために、次のような研究を実施し記述のような成果を得た。 (1)モノパルス型レーダのパルス幅が2nS,6nSの2機種を使用して、同じ地下状態での受信波形について、スペクトル分折、ケプストラム解析を行った。その結果、パルス幅2nSの波形分折では地下1m以下の地中伏態の探査に向き、6nSでは地下数mの探査が可能であることがわかった。なおスペクトル分折法として、FFT(高速フーリェ変換)よりMEM(最大エントロピー法)が地下探査によいことがわかった。 (2)コンクリート構造物模型に対するレーダ信号のスペクトル分析の結果、特定の周波数にてピークが現れた。このピークの理論的説明を検討したところ、原因は電磁波の高周波磁界の励振による2次波源の存在を考慮すると説明できることがわかった。この説明により電波の偏波特性による測定結果の相違も説明できる。 (3)電磁波散乱界の過渡応答を差分時間領域法(FD-TD)により計算した。その結果、受信波形の第3ピークの出現時間に地下空洞の影響が現れており、これは実験で得られた結果とも一致している。本計算法によって得られる過渡電磁界の特徴をケプストラム解析、Log/CFAR処理に摘用して、信号処理に取入れ、レーダシステムの高度化が可能である。 (4)地下の媒質状態は不均一で分散性である。また、目標物の形状も複雑である。このような対象物で反射されたレーダ信号は、統計的処理が必要で、まず、統計的性質を調べ、それに合う処理法を開発した。その結果、対象物の存在を従来のS/N比以上の良好の状態で表示できるようになった。
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