研究概要 |
平成3年研究年度において高速漁船模型および曳行装置を製作し,模型曳航方法の検討を行った。平成4年研究年度においては前研究年度において得た知見をふまえて,下記の研究テーマに関する実験的研究を実施した。以下,研究の実績概要について述べる 1.模型船垂線間長0.7m,排水量3,0Kg以下のきわめて小型の漁船模型を用いて上下揺れ,樅揺れを自由とした高速曳航の抵抗試験(自由曳航実験法と名付ける)を実施した。本実験ではプーリを用いて模型船および曳船装置の一部を鉛直方向に吊り上げる装置を使用した。この装置により模型船体に注意の負の重さの重量物を塔載する事が可能となり,小型の模型船を用いた実験の実施が容易となった。 2.高速曳航時の船体上下変位,トリム変化について流体力と変位の関係を明らかにするために,拘束実験によって得た揚力,トリムモーメントを用いて自由航走姿勢の推定を試みた。この実験ではまず拘束実験を実施し船体に加わる揚力,トリムモーメントを計測する。次に同一の船体状態における自由曳航実験を行い,前に計測した揚力,トリムモーメントと同値の荷重を自由航走中の船体に加え姿勢の変化を計測した。 以上の研究により以下の知見を得た。 1.船体を吊り上げて排水量の調整を行う事は,水槽の長さ,曳引電車速度,模型の小型化といった実験実施の際の制約に対処する方法として大変有効であり,また十分に実験値の精度を保つ事がわかった。 2.自由曳航実験における姿勢変化は,拘束曳実験における揚力とトリムモーメントに基づく静力学的排水量変化によるものと略等しく,航走時の揚力とトリムモーメントを推定できる事がわかった。
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