研究概要 |
この研究は,表面超音波(弾性表面波)の音弾性効果(伝播速度の応力依存性)を利用する応力測定法を開発することを目的としたものである.ここでは,まず表面波を用いた計測技術の開発と計測システムの整備を行い,基本事項を検討した上で,応力分布状態を高精度で求める手法を開発しようとするものである.具体的には,表面波の伝播速度を高精度で測定することが鍵であり,その方法について本年度の研究計画に沿って検討した結果,以下の成果を得た. 1)計測システムの整備と調整:現有のシングアラウンド装置を用いて,高精度周期計測システムを構成し,システムの特性を調べた.このシステムの計測精度として,ほぼ十分な精度0.03nsecを得た. 2)なお,time-of-flight計測システムも整備した.その計測精度は,0.05nsec程度であった. 3)表面波を送受信するナイフエッジ型およびくさび型のトランスデュサ-を試作して使用した. 4)基本的な音弾性特性の把握:アウミニウム合金(5152および2017)および構造用鋼について,応力音弾性係数を求めた. 5)溶接部を持つモデル試験片について,残留応力の予備的な測定を試みた.送受信用のトランスデュ-サ-の装着方法を改良する余地があることが分かった.これについては,現在検討中である.
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