研究分担者 |
山田 一宇 前田建設工業(株), 技術研究所, 所長代理
野尻 陽一 鹿島建設(株), 技術研究所・取締役, 副所長
小沢 一雅 東京大学, 工学部, 講師 (80194546)
上田 多門 北海道大学, 工学部, 助教授 (00151796)
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研究概要 |
本研究は,締固め不要コンクリ-トを用いたコンクリ-ト構造物の総合的な施工システムを開発すること,および,その費用と便益を明らかにすることを目的とした。本年度に得られた成果を以下に纏める。 1.締固め不要コンクリ-トの便益と費用の定量的評価手法の開発 締固め不要コンクリ-トを用いたコンクリ-ト構造物の便益を,省力化,工期短縮,省資源,労働環境の改善および安全性の向上からなる「施工性」の向上と,構造物の耐久性と信頼性の向上によるライフタイム・コストの低減に伴う「供用性」の向上と定義し,これらを定量的に検討できる評価システムを構築した。 2.コンクリ-ト構造物の施工システムとして,プレキャスト型枠,ユニット鉄筋,鋼合成コンクリ-ト構造等とを組み合わせた設計・施工方法を提案し,開発した評価システムを適用してその費用と便益を明らかにした。 3.打継ぎ処理法の開発 締固め不要コンクリ-トのブリ-ジングが少ない点に着目して,打継ぎ処理法の簡略化を目指した実験的検討を行った結果,無処理施工の場合,引張応力状態においては,約6割の強度低下が見られ,せん断圧縮応力状態においては,流動性状の違いにより生じた表面形状が,その力学特性に影響を及ぼすことが明らかとなった。 4.型枠の設計法の開発 締固め不要コンクリ-トを用いた場合の打設後の側圧を予測する手法を開発することを目指し,実験的検討を行った結果,フレッシュコンクリ-トの流動性低下速度,凝結速度および脱水速度の特性より,予測できる可能性があることが見出された。 5.ポンプ圧送性の予測 締固め不要コンクリ-トのポンプ圧送抵抗の支配要因と考えられるコンクリ-トと管のすべり抵抗のモデルを構築することを目的に実験および解析を行った結果,すべり粘性係数が管に働く垂直応力の影響を受ける可能性があることが明らかとなり,ポンプ圧送後の流動性低下が大きい配合があるという新たな問題提起がなされた。
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