研究概要 |
神田は底層水散水工法を模擬するための水理実験装置を製作した.次に水理計測法を確立し実験装置を良好に稼働させるために各種予備的実験を行った.まず,制御が比較的容易な塩分濃度成層場における散水循環工法の実験を行った.流速計測などにまだ不備があるが,流況と鉛直循環特性に関して定性的な知見を得た.水温成層の実験を行うためにデ-タロガ-を購入し,熱電対による多点水温計測法を確立した.実験は現在進行中である.箟は内部循環工法に関する水理実験を行い,混合則を実験的に定式化することを試みている.道奥は噴水による散水ならびにポンプ船による内部循環を試験的に実施している建設省直轄の貯水池に出向き,現地実験の成果や問題点などに関する情報を収集した.また神戸市内の上水用貯水池において水温,流速に関する現地観測を1年間継続し,資料の収集・解析を行った.村岡は風洞水槽を用いて風による密度成層の応答・混合特性を実験的に調査した.内部セ-シュなど各種モ-ドの内部振動成分についても検討を加え,強制的な循環工法にともなう流動によって池内の水温場が如何に応答するかを考えるための基礎的知見を得た.中辻は貯水池と類似した閉鎖性水域である江田島湾において水温,熱収支の現地観測を行った.水温構造を予測するための鉛直一次元数値モデルの構築も併行し,観測から得られた渦動拡散係数などのデ-タをもとにして閉鎖水域内の流動を予測する解析手法の確立を図っている. 底層水散水工法に関しては流速を精度よく計測することが困難であり水温成層での水理実験が当初の計画より遅れ気味である.数値予測手法については三次元モデルを現在検討中である.今後の研究成果の進捗に応じて次年度は研究計画の軌道修正を随時加えながら研究を進め,完結する予定である.
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