コンプレッサを動力源としてパイプ等の管内に高速空気流を生じさせこの空気流の引きずり効果によって雪輸送が可能である。輸送能力の向上には、管内風速をできるだけ大きくすること、および管内に投入される雪塊の形状の最適化が必要である。管内風速の増大は管内における雪の閉塞現象の防止に極めて効果的である。また、実用化に際しては輸送距離の延長が必要になると共に、輸送管の途中から管内に雪を投入する必要性が生じてくるものと思われる。以上の観点から、平成3年度に目標とした実験項目は、1.動力源の出力を一定とし、輸送管の長さをパラメ-タとした場合の管内風速を最大とする構成2.圧力損失等の基本的特性の測定3.輸送距離を延長するための構成4.輸送距離を延長した場合の輸送管途中からの雪投入箇所の検討5.管内における雪の閉塞条件の検討6.管内への雪投入機構の開発7.現有システムのフィ-ルドテスト8.高圧電動ブロワ-(本年度購入)を動力源とした輸送モデルの基本的特性の測定とした。以上の項目中、1.〜4.および8.については、現有システムおよび同原理の実験室規模のモデルを製作し、双方を比較実験することによりほぼ予定通り消化した。しかし、今冬は近年希にみる少雪の年となったため、5.6.および7.の実際の雪を対象とした実験の再現性には不安が残る。従って、画像解析装置(本年度購入)による管内の雪の閉塞現象の観察は、雪質等のパラメ-タとの関連が不明瞭なものが多く、詳細については次年度の降雪期に継続せざるを得ない。6.については、小型除雪ロ-タリの利用が好結果を示した。本年度に新たに得られた知見は、1.コンプレッサ出力・輸送距離に対する最適なノズル配置2.輸送距離をパラメ-タとした場合の圧力損失3.輸送管内へ雪を投入する最適箇所4.湿雪を輸送管内へ投入する場合の最適形状5.輸送管内における雪の閉塞現象と管内風速の関係である。
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