研究課題
試験研究(B)
可逆形状記憶合金を用いた岩石破砕器に関する一連の実験的・理論的研究を実施した。得られた主な成果をまとめると以下のようである。1.圧力源として最適なTiNi合金の組成・熱処理条件を明らかにした。そして、0℃平圧縮のTi-50.8Ni時効処理材により、回復応力950MPa、回復ひずみ4.6%の値を達成した。また、常温(10〜20℃)平圧縮では、Ti-50.5Ni加工熱処理材で、回復応力600MPa、回復ひずみ4.4%を達成した。2.TiNi合金の可逆形状記憶処理法に関する実験的検討を行い、母相状態における繰り返し圧縮載荷処理が有効であることを明らかにした。また、この処理法をTi-50.5Ni加工熱処理材に適用し、可逆回復応力420MPa、可逆回復ひずみ2%を達成した、これらの値は、一方回形状記憶持性値のそれぞれ70%および45%であり、極めて高い値である。また、可逆形状記憶処理において最適条件を達成するためには、合金の塑性ひずみの臨界値を求める必要があることを明らかにした。3.可逆形状記憶合金を圧力源とした岩石静的破砕器を試作し、その性能を実験的に確認した。そして、液体チッ素冷却および熱湯加熱による温度サイクルでモルタル供試体の破断が確認された。これらの結果から本破砕器は実用上充分の性能を有すると思われる。さらに、以上の成果は形状記憶合金の新たな利用法、すなわち、圧力源としての利用法について展望を与えている。
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