研究課題/領域番号 |
03555143
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永田 和宏 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70114882)
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研究分担者 |
松岡 正雄 山里エレクトロナイト(株), 専務取締役研究所長
須佐 匡裕 東京工業大学, 工学部, 助手 (90187691)
丸山 俊夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20114895)
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キーワード | リン酸カルシウム / 固体電解質 / Caセンサ / 溶融スラグ / 活量 / 塩基度センサ / 酸化カルシウム / 酸化アルミニウム |
研究概要 |
4Cao・P_2O_5を固体電解質に用いてガルバニ電池を構成し、CaO-Al_2O_3系溶融スラグのCaOの活量を測定した。固体電解質は直径約10mm、厚さ約3mmの円盤状の焼結体で、市販のリン酸三カルシウムと炭酸カルシウムを混合し圧粉、焼結、粉砕を繰返して作製した。電池の構成は、白金皿にスラグを溶かし、白金線を渦巻き状にしたものをスペ-サ-として置き、その上に固体電解質、参照極の円盤状のCaO焼結体、白金板を順に乗せてアルミナの棒でバネを使って押しつけた。CaO焼結体の固体電解質との接触界面近傍には白金線を渦巻き状にして電極として埋め込み、これから一方の電極を取り出した。他方の電極は白金皿から取った。起電力の測定温度は共晶温度の1573Kから1873Kの範囲で、空気中で行った。スラグの組成はCaOもモル分率で0.55から0.73の範囲である。 得られた起電力は昇温時、降温時共によく一致し再現性は非常に良かった。起電力の温度依存性は共晶温度1633K、CaO・Al_2O_3や3CaO・Al_2O_3(1812K以下で安定それ以上ではCaO)の化合物と溶融スラグの液相線で変化し、その変化する温度は状態図と非常に良く一致した。起電力から得られたCaOの活量はラウ-ル規準より負に偏寄しており、Gibbs-Duhemの積分からCaOの活量を用いて計算したAl_2O_3の活量も負に偏寄している。 3CaO・Al_2O_3と溶融スラグが平衡する組成では1773KでCaOの活量は0.906でAl_2O_3の活量は0.0154である。この積から得られる3CaO・Al_2O_3の標準生成自由エネルギ-は著者らが別の方法で測定した値と良く一致する。 以上の結果より、4CaO・P_2O_5固体電解質を用いてCaセンサを構成し、ZrO_2-9mo1%MgOを固体電解質に用いた酸素センサを組合せることによりスラグの塩基度センサが作れることがわかった。ただし、Caセンサの参照極にはAg-Ca合金など高温で液体となり、Caの活量が一定となる物質を使う必要がある。
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