研究概要 |
本年度の研究では,以下に示すような固体のNaClで飽和したNaCl-AlCl_3系コンポジット溶融塩電解質を用いたAl濃淡電池を構成し,亜鉛浴中のアルミニウムセンサ-としての作動を検討し,1〜4の知見を得た. Zn‐Al|NaClsat.+AlCl_3(+ZnCl_2)|((Na^+))/(B‐alumina)|NaClsat.+AlCl_3||Al 1.本研究で用いたセンサ-は約100ppm Al以上でAl濃淡電池として作動する.これより低いAl濃度では,亜鉛,アルミニウム塩化物の置換反応が生じ,溶融塩化物中のAlCl_3の活量の変動の影響を考慮する必要がある. 2.隔壁としてβ-アルミナを用いたセンサ-とこれを用いない場合についてセンサ-の比較を行い,短時間では両者の起電力がほとんど一致するが,前者はセンサ-浸漬後に平衡起電力を示すまでの時間が短く,亜鉛浴のAl濃度変動に対する応答性,センサ-寿命において優れている. 3.NaCl-AlCl_3系は,吸湿性が高く,水を含んだ場合にはガスを放出し,起電力の挙動に悪影響を与える. 4.このセンサ-を用いた起電力法で希薄なZn-Al合金中のAl活量を450〜500℃の範囲で測定し,約3000ppmAl以下でヘンリ-の法則に従うことがわかった.この結果より,無限希釈におけるAlの活量係数を新たに求めた.以上のように,実験室規模でのセンサ-の基礎特性はほぼ当初の計画を満足するものであり,今後,センサ-寿命およびその判定法,亜鉛メッキプラントおよびその他の溶融亜鉛メッキプロセスにおける実機試験を行う予定である.またコンポジット電解質として用いる複合ハライド系について幅広い物質系について検討を行う計画である.
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