最近、窒化物や炭化物その他の超耐熱セラミックスの進歩は著しく、さらに粒子およびウィスカ-の複合化による高強度化、高靭性化の研究が進められている。従来、強度および信頼性を高めるため原料粉末の微細化、高純度化が進められ、また、粒子およびウィスカ-混合複合材もいかに均一に分散混合するかが中心的研究課題であった。しかし、宇宙・航空および核融合開発において材料の使用環境は非常に苛酷なものとなり、材料に要求される機能が多重化し、均質な複合材料では対応できなくなってきている。また、人類の歯の構造は、中心部は多孔質で生体との順応化に適し、表面は緻密で強度および耐摩耗性に優れている。以上のように機能複合の重要性が認識され、均一な複合材料とは異なり、材料特性を空間的に分布させた多機能複合材料の開発が不可欠になりつつあると考えられる。本研究は、粉末の混合を極めて滑らかに変化させることができ、かつ、ねらいとする空間分布となるように粉末粒子を積層制御することが可能な粉末積層制御装置を開発し、これにより材料特性を空間的に分布させた多機能複合材料の開発を目的としている。平成3年度は粉末積層制御装置を完成させ、駆動制御用ソフトウェアの開発および基礎実験を行った。(1)噴射ノズルヘッドの2次元移動制御可能なX-Yステ-ジを製作した。(2)超音波ホモジナイザ-を用いた粉末混合法および噴射ノズルを開発した。(3)金属、セラミックスおよびそれらの混合粉末の搬送、供給方法を詳細に検討した。(4)全システムを組み立て、制御用ソフトウェアを開発した。(5)粉末積層制御体の圧縮成形および焼結条件を検討し、見通しを得た。
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