研究課題
高圧ガス噴霧法による得た約300〜1000m/sの高速で飛行する微小過冷却液滴を高速で回転する冷却体に衝突させ、扁平化することにより、厚さ1〜3um、アスペクト比20〜300の小判型のフレーク粉末を作製できることが、著者らの以前の研究により明らかになっている。この二段液体急冷法を用いて、前年度ではFe、Co、Niなどの磁性をもつ遷移金属基合金の超薄型フレーク状アモルファス粉末の作成および得られた粉末の熱的安定性、硬さ、耐食性、磁性などの基磁的性質を調べるとともに、粉末のバルク材への成形加工性の評価ならびに成形体の磁気特性などを評価した。その結果、Fe基およびCo基のフレーク状アモルファス粉末が磁気シールド用粉末として工業上有望であることを示した。本年度は、Fe、Co、Niなどの合金に比べて高融点でしかも高活性であるTi基およびZr基の超薄型フレーク状アモルファス粉末を作成できるように高圧ガス噴霧装置を改良するとともに、これらの粉末が高効率で得られる噴霧条件ならびに最適合金組成の探査を行った。その結果、Ti-Ni-Cu-Co系合金およびZr-Ni-Cu系、Zr-Ni-Al系合金において全粉末粒径においてアモルファス相の超薄型フレーク粉末が得られ、その結晶化温度および結晶化の発熱量が単ロール法で作成したアモルファスリボン材とほぼ同じであることおよびフレーク状アモルファス粉末の結晶化温度以下での加熱に併う構造緩和量がリボン状アモルファス材に比べて約2.3倍も大きいことを明らかにした。この極めて大きな差異は、フレーク状粉末の冷却速度が結晶化温度以下の温度域で著しく大きいことを示しており、本研究者らが開発した二段液体急冷法は単ロール法に比べて大きな冷却速度を有していると結論される。この大きな冷却速度は、融点以下に過冷された微小液滴が再度冷却されることに原因していると考えている。
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