研究課題
平成3年度では、2段液体急冷装置の試作ならびにFe基、Co基、Ni基合金の超薄型フレーク状アモルファス粉末の作製条件を決定するとともに、得られたアモルファス粉末の熱的安定性、耐食性、磁性などの基礎的性質を調べ、超薄型フレーク状アモルファス粉末の薄帯や細線とは異なる特性の特徴を明らかにした。平成4年度では、高融点基合金であるTi基やZr基合金の超薄型フレーク状アモルファス合金粉末を作製できる大きなアモルファス形成能を持つ合金系と組成を調べるとともに、フレーク状アモルファス合金粉末の作製を試み、最適条件を決定した。また、これらのアモルファス粉末の形態の特徴、熱的安定性、耐食性などを調べ、高融点基アモルファスフレーク粉末の性質の特徴と生成プロセスとの関連性を検討した。平成6年度では、工業的に最も重要であるが、比重が小さく、従って衝突後の回転体からの剥離性が低く、フレーク粉末の作製が困難であるAl基合金の超薄型フレーク状アモルファス粉末の作製を試みた。その結果、回転ロータの表面性状を工夫することにより、高収率でAl基フレーク状アモルファス粉末を作製できることを見出すとともに、これらのフレーク状粉末もFe、Co、Ni、Ti、Zr基のフレーク状アモルファス粉末と同様に、リボン材などに比べて約2倍もの構造緩和量を示し、冷却速度が大きな状態でアモルファス粉末が作製されていることを示している。さらに、Fe、Co基フレーク状アモルファス粉末を用いた磁気シルード材、Ti、Al基のフレーク状アモルファス粉末を用いた防食用塗装材としての実用性評価も併せて行った。その結果、2段液体急冷技術で得たFe、Co、Ti、Al基のフレーク状粉末は、超薄型形態とアモルファス構造の特長のために他の粉末では使用できなかった磁気シールド材および防食用塗装材として実用化できる見通しが得られた。
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