研究課題
研究代表者らは前年度までに2重被覆層および多相分散被覆型の複合粒子の調製法を明らかにした。今年度は、多相分散型の複合粒子を工業化に対応できうる粒末とするため、不定形核粒子への適用の検討と、ファイン化を計るため超微粉末被覆の可能性、ならびに同複合粉末の応用化研究として焼結特性とその界面反応について検討した。そのうち不定形核粒子については、球形核粒子と同様にフレーク状粒子を被覆させた場合にメカニカルアロイングに類似のニーディング効果により多相分散相がえられたが、核粒子の付着は不規則で組識制御までは至らなかった。固結状態の被覆層をもつ1次複合粒子に微細球状ステンレス粒子を被覆させた場合には、1次被覆層の剥離が生じ2次複合粒子は得られなかった。1次被覆層(ジルコニア)に、より微細なステンレス相を分散させるため超微粉末の直接被覆を検討した。はじめ凝集状態にある超微粉末は複合化処理に伴う発熱により、それ自体が早期にそのまま融合して大きな焼結塊となる。一旦塊状となった超微粉末は核粉子に付着しにくく、2時間複合化処理した場合でも2次複合粒子は得られなかった。以上まとめれば、球状核粒子にフレーク状粒子を被覆させた場合にかぎり、多相分散被覆型の複合粒子を開発することができ、またこれを焼結することによって粒界にステンレスとジルコニアが混在した複合焼結体を得ることができた。これは機械的性質を向上させた耐摩耗材料の開発に大きく寄与できるものと考えている。
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