超微細粒軟磁性薄膜材料及び磁気素子の開発

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03555152
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 藤森 啓安 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60005866)
• 研究分担者: 小尾 俶久 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80005925) ; 森田 博昭 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50005914) ; 長谷川 直也 アルプス電気, 研究員 ; 高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00187981) ; 潟岡 教行 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90194761)
• キーワード: 軟磁性材料 / 巨大磁気抵抗 / ナノクリスタル / 超磁歪 / 高飽和磁束密度 / 磁気抵抗素子 / スパッタリング / 人工格子

研究概要

Fe基2元合金とFeの磁性層間に中間層として非磁性体を挿入し、保磁力差による巨大磁気抵抗効果出現の可能性を検討した。
我々は、既にFe-Zr、Fe-Hf系薄膜において高飽和磁束密度を有しかつ優れた軟磁気特性が得られることを見いだしていたので、上記系とFeとの多層化を行い、さらなる高飽和磁束密度化と柱状粒分断効果(結晶粒の微細化)による軟磁気特性が改善されることも示した。
また、最近、磁気的に独立した2種類の保磁力を持つNi(-Fe)/Cu/Co/Cu人工格子ではスピン・バルブ効果による巨大磁気抵抗効果が観測されているので、新しい軟磁性材料である本系に於いても非磁性体を中間層としてFe-Hf、Fe層間に挿入し、2つの磁性層の保磁力差による巨大磁気抵抗が得られるか否かを検討した。さらに、新たな巨大磁気抵抗の得られる系を探査するためにCo-Z/Cu系人工格子の作成及び計測を行った。
以下に今年度の結果を列記すると、X=Cr層を中間層として挿入すると、Cr層厚70Aまででは0.2%程度の異方性磁気抵抗のみが観測された。X=Cu層を中間層として挿入すると、スピン・バルブ効果による磁気抵抗が観測されたが、磁気抵抗の大きさは高々0.2%程度であった。このため、巨大磁気抵抗の得られる可能性の高いCoとの合金について主に探査を行った結果、Z=Feの場合の磁気抵抗は広い組成範囲にわたりCo/Cuよりも磁気抵抗が大きくなっていることが判明し、今後以上の成果を組み合わせることにより優れた磁気素子が創製出来るものと考えている。

研究成果

• [文献書誌] N.Hasegawa,M.Saitoh,N.Kataoka,H.Fujimori: "Structural and Soft Mugretic Properties of Fel Fe-Hf-C Multilayered Films with the High Bs and Thevmol Stabil" Journal of Applied Physics. 70. 6253-6255 (1991)
• [文献書誌] N.Kataoka,T.Shima,H Fujimori: "High Frequency Permeability of Nanocrystalline Fe-Cu-Nb-Si-B Single and Multilayer Films" Journal of Applied Physics. 70. 6238-6240 (1991)
• [文献書誌] 長谷川 直也・斎藤 正路 潟岡 教行・藤森 啓安: "高飽和磁化、高耐熱性を有するFe/Fe-Hf-C多層膜の軟磁気特性" 日本応用磁気学会誌. 15. 403-406 (1991)
• [文献書誌] 渡辺 雅人・高梨 弘毅 藤森 啓安: "FePt/Pt人工格子の垂直磁気異方性と磁気力-効果" 日本応用磁気学会誌. 15. 415-418 (1991)
• [文献書誌] Y.Obi,K.Takanashi,Y.Mitani,N.Tsuda,H.Fujimori: "Advanced Experimental Study in Giant Magnetoresistance of Fe/Cv Superlaftice by RF-Sputtering" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 1747-1748 (1992)
• [文献書誌] H.Fujimori,J.Y.Kim,S.Suzuki,H.Morita,N.Kataoka: "Huge Magnetostriction of Amorphous Bulk (Sm,Tb)Fe_2-B with Low Exciting Fields" Journal of Mognetism and Magnetic Materials. (1992)