研究分担者 |
小尾 俶久 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80005925)
森田 博昭 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50005914)
長谷川 直也 アルプス電気(株), 研究員
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00187981)
潟岡 教行 東北大学, 工学部, 助教授 (90194761)
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研究概要 |
最終年度の本年は,これまでの総仕上げとして以下の研究を行い多くの成果を挙げた。 1)鉄系ナノ結晶材料の軟磁性:これまでに,FeHfC単層膜,FeHfC/Fe多層膜の合成と磁気特性を調べ,これらは高飽和磁束密度,高周波高透磁率,熱安定性を有する優れた軟磁性薄膜材料であることを明らかにした。本年は,熱安定性について詳しい研究を行った。その結果,アモルファスを熱処理して得られた超微細粒結晶状態は,ナノメーターのBCCFeをHfC化合物の分散したもので,HfC化合物がBCCFe結晶粒界をピン止めしてFe結晶粒の成長を阻止していることが分った。このピン止め効果によって,状態がきわめて安定であり,結果的に磁気特性の熱安定が得られているとの結論を得た。これは初めての知見である。 2)Co-Fe/Cu及びCo-X/Cu系多層膜(人工格子)の巨大磁気抵抗:これらの系を詳しく研究し,とくに,Co-Fe/Cu系では約10%のFeをCoに添加するとスピンによる伝導電子の散乱が増大して,磁気抵抗がこれまで報告されているCo/Cu系よりも大きくなることを見い出した。さらに,Co-Fe/Cu/Co-Fe系では磁場が小さい領域で巨大磁気抵抗を示すことを見い出した。これは,巨大磁気抵抗効果のセンサー等の応用への手掛りを得たものとして注目される。 3)遷移金属と希土類金属から成るアモルファス合金及び非平衡合金の磁歪:FeTbB及びFeSmB系スパッタアモルファス合金で,今までの報告にはない弱磁場における巨大磁歪を得ることに成功した。また,飽和磁化の大きいFe(70)Co(30)合金に数%のSmを添加することによって磁歪を零に出来ることを見い出した。これは,磁化の大きい新しい軟磁性材料の可能性を示唆するものとして注目される。
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