研究分担者 |
堀谷 貴雄 新日本製鉄(株), 技術研究所, 主任研究員
松尾 宗次 新日本製鉄(株), 技術研究所, 主任研究員
柴田 浩司 東京大学, 工学部, 助教授 (90011121)
伊藤 吾朗 東京大学, 工学部, 助手 (80158758)
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研究概要 |
試験研究でありながら、予算を大幅に削られたため当初申請した装置の試作が困難な状態となった。そこで高温での試験を断念し、室温での試験のみとした。しかしそれでも約3000万円は必要との試算であったので、試作には非常な困難を覚えたが、科研費以外に各方面からの補助を仰ぐことを覚悟し、試作に踏み切った。 試作に際してまず念頭に置いたことは、変形・破壊に際して放出される微量のガスを分析するのであるから、まず真空チャンバ-内の残留ガスを出来るだけ減少させることである。そのため、真空チャンバ-は電解研磨したSUS304を用いて作成し、排気系としては当初予定の真空度が達成出来るよう心がけ、タ-ボ分子ポンプ島津UHV-550およびTMP-50を装着することにした。さらに、非蒸発ゲッタ-ポンプ(アルバックSORB-AC-50-D)を付属させて真空度の向上に努めた。その結果、150℃で丸1日のベ-キングののちに1.3×10^<‐7>Paの超高真空が定常的に得られるようになった。変形・破壊などの為の試験機としては、将来疲労試験なども可能となるよう、島津サ-ボパルサを装置に付帯させることとした。また、ガス分析のための四重極質量分析計としては、 ^1H, ^2H(=D),H_2、HD,D_2などを精度良く検出可能とするために当初の予定より上級の機種を選択し、アルバックMSQ-400を付帯させることにした。その結果、真空チャンバ-内の残留ガスの分析も精度良く行う事が可能となった。そして、3×10^<‐7>Paの超高真空下での残留ガスは主としてH_2であり、その他はN_2,H_2O,CO_2であることが明らかとなった。さらに、Al-Mg合金の高温脆化と水素との関係を明確にする為の実験として、重水素をド-プしたAl-Mg合金を作成し、高温脆化の条件下で予備変形後、試作装置内で変形・破壊を実施したところ、問題の合金試料からHD,D_2などの“水素ガス"が検出された。よって装置の試作は十分な成果を上げたと考えている。
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