研究概要 |
溶融アルミニウム合金(Al-Si-Mg,Al-Ni-Mg,Al-Cu-MgおよびAl-Si-Zn)を酸化雰囲気中で1500〜1800Kの温度領域で指向性酸化させ溶融アルミニウム合金から直接バルク状のAl_2O_3-Al合金系複合材料をin situで生成させるための新しいプロセッシングの最適条件ならびにニア・ネット・シェイプ技術について重点的に検討した。本年度中に得られた結果を次に示す。(1):酸化条件の最適化を調ベるために酸化温度,酸化時の酸素分圧,添加元素(Si,Mg,Zn)の影響を系統的に調べ生成速度と生成組織の最適化を両立させるための条件を求めた。(2):複合材料の生成過程をモデル化し、シミュレーションを行なった。その結果、本研究で用いたモデルにより生成過程をシミュレートすることが可能であり、シミュレーションの結果は実験より求めた複合材料の生成速度とよく一致した。(3):複合材料プロセスとしてのニア・ネット・シェイプ技術を確立するために、SiC粒子およびAl_2O_3粒子を用いた任意形状のプリフォーム中にAl_2O_3-Al合金系複合材料を生成させることを試みた。その結果、プリフォームの見掛けの体積率が25vol%まではプリフォーム中にAl_2O_3-Al合金複合材料を生成させることが可能であった。(4):得られたAl_2O_3-Al合金系複合材料の熱的・力学的特性を調ベた。本年度はAl-Si-Mg合金を指向性酸化させて得られたAl_2O_3-Al-Si複合材料の特性を測定し、Al_2O_3単体ならびに粉末冶金法により作製されたAl_2O_3-Al合金系複合材料との結果を比較・検討することにより本プロセスにより得られる複合材料の持つ特徴を明らかにした。
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