研究分担者 |
安田 健 日立製作所, 尾立研究所・日立研究室, 主任
芦田 喜郎 神戸製鋼所, 材料研究所・材質制御研究室, 室長
乾 晴行 京都大学, 工学部, 助手 (30213135)
西谷 滋人 京都大学, 工学部, 助手 (50192688)
白井 泰治 京都大学, 工学部, 助教授 (20154354)
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研究概要 |
金属間化合物TiAlは,次代の軽量耐熱材料として注目される新しい素材であるが,変形能に乏しく,特に板材が得られないため,いまだ実用化されるには至っていない。 本研究では,(1)層状組織のキャラクタリゼーションと組織制御要因の洗い出し,(2)冷間圧延後の変形組織とその焼鈍回復過程の解析,(3)層状組織方位を制御した結晶(PST結晶)の変形機構の解明を押し進め,実験室規模のTiAl冷間圧延に関する基礎的知見を得た。すなわち,単一の層状組織方位をもったPST結晶を育成,それより小型圧延用試片を切り出し,種々の圧下率まで圧延した。つづいて圧延試料の回復・再結晶過程を明らかにすると共に,その特徴と圧下率の相関を究明し,圧延可能な層状組織を復元し得る条件を明らかにすることを目的に,温度,昇降温速度,雰囲気等を高精度で制御し得る中間焼鈍炉を用いて,冷間圧延試片の焼鈍を行った。その結果,焼鈍温度900℃〜1000℃範囲では,冷間圧延圧下率が20%以下とそれ以上では再結晶のメカニズムが大きく異なることを発見した。すなわち,圧下率20%以下では層状組織を保存したまま再結晶が進行するに対し,それ以上の圧下率では,等軸粒からなる再結晶組織が得られる。 さらに第2年度,Cr添加によりTiAlの環境脆化が押さえられるため,大気中では,二元系に比べCr添加PST結晶の引張伸びが,圧倒的に高くなること,この傾向は,Cr添加量の増加とともに流大する傾向があることを発見し,二元系PST結晶では,大気中では破断は層状組織境界に平行に起こるに対し,Crを添加したPST結晶では真空中,大気中、いずれでも層状組織境界を横切るように破断が起こることを明らかにした。現在もCr添加材の圧延実験を続行中であるが,二元系PST TiAlより,はるかに優れた冷間圧延性が得られている。
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