研究課題
各種金属材料にパルスYAGレ-ザ-を照射した場合、条件によって、スパッタが発生したり、ポロシティが生成したり、凝固割れが発生したりする。また、材料によりレ-ザ-の吸収率が異なるため、その溶融性が異なる。ところが、各種合金のパルスレ-ザ-溶接性に及ぼすパルス時間とパルス波形の影響について系統的に検討した報告はほとんどない。そこで、本研究では、材料特性の異なるアルミニウム合金5083、ステンレス剛SUS 304およびTi-Ni形状記憶合金にパルスYAGレ-ザ-を照射し、各合金の溶接性、特に溶融性と欠陥発生の有無に及ぼすパルス時間およびパルス波形の影響について検討した。1.アルミニウム合金においては、レ-ザ-溶融性に対して、レ-ザ-のエネルギ-密度よりパワ-密度の影響が大きいことがわかった。溶け込み深さはある程度のレ-ザ-照射時間までは増大していくが、ある時間を越えると飽和する傾向があり、深溶け込みを得るためには長時間のレ-ザ-照射は効果的でないことが判明した。2.ステンレス鋼では、パワ-密度の高いレ-ザ-を照射すると、スパッタが発生しやすく、パワ-密度を抑えたレ-ザ-を照射する必要があることがわかった。3.Ti-Ni形状記憶合金では、パルス幅の長いレ-ザ-を照射すると、Niが蒸発しやすく、溶接部の組成が変化し、特性が劣化することが判明した。このため、短パルス幅のレ-ザ-照射により特性の優れた溶接部が形成できることがわかった。4.いずれの材料でも、それぞれに対してレ-ザ-パワ-のパルス波形を制御することにより、ポロシティなどの溶接欠陥のない深溶け込み溶接部が形成できた。
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