研究課題
平成4年度の研究計画とその個々の成果を以下に示す。1.パルス波形とレーザー加工現象の高時間分解能計測パルスレーザー照射時のプルーム発生状況を発光時間40nsの極短パルスルビーレーザーを光源としてシャドウグラフ写真及びシュリーレン写真観察を行い、照射パワー密度の差異によるプルームの流体構造の可視化及びその伝播速度計測に成功した。さらに、パルスレーザー溶接時の母材表面の溶融・凝固過程を高速ビデオにより観察し、別に開発した溶融・凝固に関する数学的モデルとの対応性を検証し、モデルの妥当性を検証すると共に、不可視な溶融池内部の溶融・凝固過程の詳細な予測を可能にした。2.パルス波形制御レーザー加工におけるプルーム発生現象の制御プルームの発光スペクトル分析によりプルーム温度計測を行うと共に逆制動放射によるプルーム(弱電離プラズマ)内での入射ビームの吸収係数を求めると共に、レーザー波長による吸収係数の差異及びプルーム中で形成される超微粒子によるレイリー散乱による損失について世界で初めて明らかにした。3.加工目的に応じたパルス波形の決定ポロシティ、割れ等の溶接欠陥が発生しやすく、パルスレーザー溶接の困難なアルミニウム合金及び完全オーステナイトステンレス鋼のレーザースポット溶接について、適正なパルス波形制御によりポロシティ発生は完全に防止できることを明らかにし、凝固割れ発生防止のための基礎的知見を得た。4.パルス波形制御用電源システムの適正化と改良上記の基礎的研究を基礎に新しい大出力波形制御パルスレーザー(シングルロッドによる800WのYAGレーザー)の開発に成功した。
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