近年、磁気記録媒体を上回る大容量記録媒体として、半導体レーザを光源とした光ディスクや光磁気ディスクが普及しつつある。さらに、その記録密度をより一層高めるために光源である半導体レーザの短波長化が進められている。それはレーザー光による読みとり面積が波長の2乗にほぼ比例するので波長の短い青色レーザー光を使うと赤色にくらべて数倍以上の記憶を同じ面積の光ディスクから読み取ることができるからである。一方、実用化されているIII-V族半導体レーザー光を短波長へ変換する研究もなされている。この波長変換の方法として、アップコンバージョン蛍光(アップコン)があげられる。アップコンは、その効率において現時点ではSHGよりも劣るとされていたが、その材料組成を最適化することで効率をあげることができた。本研究で得られた主な成果は次の通りである。 1.フッ化物ガラス(0.7ZrF_4・0.3BaF_2・0.6LaF_3・0.01ErF_3組成)をファイバーにひき、室温で800nmのTiサファイアレーザーにより励起したところ、アップコンバージョン光が約7%の変換効率でレーザー発振することを見出した。これにより、青色や緑色半導体レーザーがなくても800nm付近の半導体レーザとアップコンバージョンガラスとを組み合せるだけで青色や緑色レーザー光を得る可能性がでてきた。
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