研究課題/領域番号 |
03555168
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島田 昌彦 東北大学, 工学部, 教授 (80029701)
|
研究分担者 |
斉藤 哲夫 三菱マテリアル(株), セメント研究所, 所長補佐
滝沢 博胤 東北大学, 工学部, 助手 (90226960)
遠藤 忠 東北大学, 工学部, 助教授 (30176797)
|
キーワード | 高強度立方晶ジルコニア / 正方晶粒子分散立方晶ジルコニア / アルミナ分散立方晶ジルコニア |
研究概要 |
4モルと5モル%イットリア固溶ジルコニア粉末を200MPaでラバ-プレス成形後、空気中1400-1700℃で3時間焼結反応を行ない相対密度が98%以上の緻密質焼結体を作製した。焼結体を構成する結晶相は、正方晶と立方晶で、イットリア固溶量と焼結温度条件の違いより、両相の存在割合を制御することが可能であることが判明した。一方焼結体の微細構造は、1-9μmの立方晶粒子マトリックスに0.5μm程度の正方晶粒子が粒界分散型として均質分布しており、正方晶ジルコニアの応力誘起相転移強化機構が機能しうることが期待される正方晶ジルコニア粒子分散型立方晶ジルコニア焼結体を作製することに成功した。破壊強度は立方晶ジルコニア粒子の存在割合と粒径に依存することが判明し、特に粒径依存性が大きく、2μm粒径で700MPa,9μm粒径では250MPaとなった。イオン伝導度はイットリア固溶量に依存し、粒内抵抗率は粒径に無関係であるが、粒界抵抗率は粒径に依存することが判明した。8モル%イットリア固溶ジルコニア粉末に0.2-0.6μmのアルミナ粉末を5-30体積パ-セント添加した複合粉末を空気中1500-1600℃で5時間焼結反応を行ない相対密度95%以上の焼結体を作製した。分散したアルミナの粒子が小さく、分散量が少ない程アルミナ粒子は立方晶ジルコニア粒子の粒内に存在し、粒内粒子分散型ナノ複合体としての特長ある微細構造を示した。全イオン導電率はアルミナ分散量の増加とともに少し減少したが、1000℃で10^2Scm^<-1>と良好な値となった。破壊強度はアルミナ分散量の増加とともに増加し、無添加で170MPaの強度が30体積パ-セント添加で250MPaまで向上した。イオン導電率を保ったままで立方晶ジルコニアセラミックスを高強化することに成功したので、今後は導電率および破壊強度の粒径依存性や更なる特性の向上のために必要な基礎的研究を行なう。
|