研究課題/領域番号 |
03555168
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島田 昌彦 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (80029701)
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研究分担者 |
斎藤 哲夫 三菱マテリアル, セメント研究所, 所長補佐
滝沢 博胤 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (90226960)
遠藤 忠 東北大学, 工学部, 教授 (30176797)
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キーワード | 高強度立方晶ジルコニア / スカンジウム固溶ジルコニア / 固体電解質 |
研究概要 |
平成3年度と4年度で行った正方晶ジルコニア粒子分散および立方晶ジルコニアへのアルミナ粒子分散は、イオン導電率をある程度犠性にして高強度化を可能にすることができた。本年度は、機械的強度とイオン導電率の両方を向上あるいは、一方の性質を維持したままもう一方を向上させることを目的として、スカンジウムとイットリウムを同時固溶させた新規安定化ジルコニアZr_<0.852>Sc_XY_<0.148-X>O_<1.925>(O≦x≦0.148)を作製し、イオン導電率と機械的性質の評価を行った。出発原料として、ZrOCl_2・8H_2O,YCl_3・6H_2とScCl_3を用い、上記固溶体組成式に混合した水溶液にアンモニア水を加える共沈法によって水酸化物を得た。水酸化物を蒸留水とn-ブタノールで洗浄脱水し、600℃で30分仮焼して原料粉末を合成し、空気中1500℃で5時間常圧焼結反応を行い、ほぼ理論密度を有する緻密な焼結体を作製した。得られた焼結体の特性評価を行い、以下のような知見を得た。 1.イットリウム-スカンジウム同時固溶ジルコニアは、8モル%Y_2O_3-ZrO_2および8モル%Sc_2O_3-ZrO_2に比べ、正方晶の存在により高い破壊強度を示した。 2.イオン導電率は、イットリウムよりイオン半径の小さなスカンジウムの固溶量の増加にともない向上した。 3.2モル%Y_2O_3-6モル%Sc_2O_3同時固溶安定化ジルコニアの破壊強度は214MPa,900℃でのイオン導電率は0.141Scm^<-1>であった。これらの値は、8モル%Y_2O_3固溶安定化ジルコニアの破壊強度(132MPa)と900℃でのイオン導電率(0.082Scm^<-1>)と比べると、破壊強度およびイオン導電率ともに大きく向上しており、平板型固体電解質型燃料電池の電解質として優れた素材であると考えられる。 本研究成果は高強度高イオン導電性セラミックス材料として、機能性セラミックスに機械的特性を付与した新規セラミックス材料開発に向けての基礎的研究と考えられる。
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