研究課題/領域番号 |
03555175
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白石 振作 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30013163)
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研究分担者 |
中山 芳樹 イハラケミカル工業株式会社, 研究所長
八代 盛夫 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (30192785)
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キーワード | 水中生物防汚剤 / 成環付加反応 / ベンゾキノン / ニトリルオキシド / イソキサゾリン / カテコ-ル / ニトロン |
研究概要 |
高活性な水中生物防剤を開発するとともに、芳香族炭化水素の化学的高度利用の途を開発することを目的として、p-ベンゾキノン類とニトリルオキシドとの反応により得られるイソキサゾリン誘導体を出発原料とし、その環転換反応による複素環縮環カテコ-ル誘導体の合成法の一般化を検討した。 1.ニトリルオキシドとp-ベンゾキノンとの反応によって生成する1:1付加化合物の塩基による転位反応を詳細に検討したところ、転位反応が起こるためには縮環上の活性水素の存在が必要であり、その解離によるカルバニオンの生成が不可欠であることが明らかとなった。しかしながら、この転位反応はp-キノンの置換基の種類および位置に依存する奇妙な置換基効果を示した。その要因については依然として不明であり、より詳細な検討が必要である。 2.ニトリルオキシドとp-ベンゾキノンとの1:1C=C付加体生成時に副生成物としてえられる1:2付加体において類似の反応が生起するかを検討したところ、1:1付加体の場合とは異なり、用いる塩基の種類によって異なる生成物を与えることを見いだした。 3.ニトリルオキシドの代わりにN,α-ジアリ-ルニトロンをもちいてp-キノン類との反応を検討したところ、ニトリルオキシドの場合と同様な成環付加体を生成しうることを初めて明らかにした。 以上の結果、水中防汚剤の開発のためのスクリ-ニングに供しうる化合物の範囲を拡大できたものと考えている。本研究の目的を達成するには、構造と反応性との相関をより系統的に調べ、複素環縮環カテコ-ル誘導体生成反応の要因を明らかにすることが重要であると考え、平成4年度においても引き続き検討することを計画している。
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