研究課題/領域番号 |
03555183
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
園田 昇 大阪大学, 工学部, 教授 (20083983)
|
研究分担者 |
小川 昭弥 大阪大学, 工学部, 助手 (30183031)
柳 日馨 大阪大学, 工学部, 助手 (80210821)
神戸 宣明 大阪大学, 工学部, 助教授 (60144432)
|
キーワード | 一酸化炭素 / カルボニル化 / セレン / ケトン / アルデヒド / アミド |
研究概要 |
本研究では、一酸化炭素の有効利用のための全く新しい方法論の開拓を目的として、従来の遷移金属触媒反応に代わる新しいカルボニル化反応プロセスの開発を行った。本年度は、セレンを用いた一酸化炭素によるカルボニル化反応に重点を置き、セレン共存下、種々の有機化合物と一酸化炭素との反応を検討した。その結果、アルデヒド、ケトン、アミド類のカルボニル化反応が、温和な条件で進行し、一酸化炭素とセレンが同時に取り込まれたセレノカルボン酸誘導体が高収率で得られることが明らかとなった。この反応は、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)により基質の活性水素を引き抜き、リチオ化した後、セレン共存下、常圧の一酸化炭素を反応させることにより進行し、生成するリチウムセレノカルボン酸塩をアルキルハライドで捕捉することにより、セレノエステルとして単離される。種々のN-モノ置換アミドからは、対応するN-カルボニル化生成物が良い収率で得られた。N,N-二置換アミド、ケトン、エステル類は、対応するエノラートが活性種となり、C-カルボニル化生成物が得られた。また、用いる基質および反応条件によっては、ケトンおよびアルデヒドからO-カルボニル化が進行し、アルキルハライドによる捕捉によりセレノ炭酸エステルが得られた。さらに、O-カルボニル化体からC-カルボニル化体への転移が進行することから、本反応は、O-カルボニル化とそれに続く転移によって進行する可能性が高いと考えられる。本年度は、上記反応系の他に、パラジウム触媒を利用するアセチレン類へのジセレニドの付加反応を検討し、本反応を一酸化炭素雰囲気下で行う事により、一酸化炭素とフェニルセレノ基が同時に取り込まれることを明らかにした。また、種々の有機ハロゲン化物のラジカルカルボニル化についても検討し、本反応が新しいカルボニル化手法として合成化学的に有用であることを明らかにした。
|