研究課題/領域番号 |
03555186
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷口 宏 九州大学, 工学部, 教授 (10037715)
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研究分担者 |
北村 二雄 九州大学, 工学部, 助手 (00153122)
磯村 計明 北九州工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (80037887)
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キーワード | 有機非線形光学材料 / 複素環両親媒性化合物 / 単分子膜の構造 / 異積膜 / 分子集分体 / 分子間力の分子軌道 / 多極子分子間力 / 液晶 |
研究概要 |
新規かつ有効な非線形光学材料の開発研究を目指して基礎研究を行った。本研究の特長は含窒素複素芳香環を持つ二、三環系の大きなπ共役系と双極子を有す両親媒性化合物を、累積膜法によって配向制御した薄膜を作成し非線形光学効果の大きな材料を開発することである。主な成果は次のとおりである。 1.複素芳香環としてピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジンを含むビフェニ-ル、タ-フェニル系の両端に直鎖アルコキシ基とカルボキシル基を持つ化合物を合成した。 2.水面上の単分子膜形成に対する複素環の効果をπ-A曲線によって評価した。ベンゼン環を複素環に変えることによって成膜性は大きく変化し、親水基側にピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環を有する場合には成膜性は顕著に向上し、ピリミジン環の場合は低下することを見いだした。 3.複素環の異常な分子間相互作用の要因を解明するために分子軌道法によって分子間力を求めた。液晶や累積膜のような分子集合系に適用できる理論的とり扱いの可能な方法を確立した。この方法によって分子設計に基づく分子集合体の形成予測が可能となった。 4.単分子膜における両親媒性化合物の集合構造をπ-A曲線、UV-スペクトル、FT-IR法によって評価した。ピラジン、ピリダジンを含む二環系では良好な配向膜を形成している。 5.フェニル-ピラジン系のヘテロY累積膜を作成し、非線形光学効果(SHG)を測定した。200層の累積膜で大きなSHGが測定された。以上のように本年度の研究計画は達成されたが、さらに長期使用可能な材料の開発を目指し重合基を有する薄膜の生成、さらにZ形累積による効率化に向け、基本研究を行った。
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