ドナー性の高分子網目としてポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクセプター性のドーパントとして、クロラニル、テトラシアノベンゼン、テトラシアノエチレンなどを用い、ラジカル重合によって高膨潤性の有機導電性高分子ゲルを合成した。このゲルの電気収縮の実験を種々の条件下で行ない、収縮が電気化学的反応による電荷の消滅によっておこることを見出し、収縮の速度式を定量的に導いた。又、水系のケモメカニカルシステムについては、界面活性剤としてアルキル鎖長をC_4からC_<20>まで変えたn-アルキルピリジニウムクロライド、ゲルとしてポリアクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸を用い、これらの間の協同的相互作用によるゲルの電気収縮実験を行なった。界面活性剤の鎖長によってゲルの収縮速度が大きく影響を受けることを明らかにし、最適鎖長がC_<10>〜C_<12>であることを見出した。その機構を熱力学的、動力学的に解析した。その結果、アルキル鎖長が増大すると安定度定数Kが大きくなって、より大きな収縮力を示す一方、電場下における板動速度rが小さくなり、これらの効果の和より説明できることを明らかにした。これらの実験結果を基礎に、ゲル応答の速度式rはr=AK^<0.4>r^<3.5>であらわされることがわかった。
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