研究課題/領域番号 |
03555190
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
重政 好弘 鳥取大学, 工学部, 教授 (00032029)
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研究分担者 |
岡本 芳晴 鳥取大学, 農学部, 助手 (50194410)
指輪 仁之 鳥取大学, 工学部, 助教授 (20205884)
南 三郎 鳥取大学, 農学部, 助教授 (70032307)
斎本 博之 鳥取大学, 工学部, 助教授 (20186977)
松橋 皓 鳥取大学, 農学部, 教授 (00001529)
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キーワード | キチン / キトサン / 創傷治癒 / 徐放性 / 多形核白血球 / 酵素分解性 / 臨床応用 / 医用材料 |
研究概要 |
キチンとポリエステル不織布との複合体(キチン-NWF/P)を犬の皮下に埋め込んだときの肉眼的及び組織所見は、埋設後18日目でキチン-NWF/Pは完全に皮下組織で取り囲まれ、新生血管の侵入も観察され、周囲細織には赤色の肉芽組織が形成されていた。一方、対照群では白色の肉芽がNWF/P周囲に観察され、NWF/Pへの血管新生は肉眼的には認められなかった。キトサン綿を牛へ埋め込んだ場合、埋設部位の皮膚における腫脹、熱感、疼痛、波動の炎症に関する所見は全く認められなかった。キトサン埋設1週間目では、埋設したキトサン繊維を取り囲むように、フイブリンネットワークが形成され、無数の多形核白血球が集簇し、近隣の組織においては線維芽細胞の活性像が認められた。2週目では、多形核白血球の集簇像は消失し、キトサン繊維の周囲には多核巨細胞が観察され、血管を伴った新しい組織が再構築されていた。 各種キチン、キトサン製材を獣医臨床領域でその応用例の拡大を試み、キチン製材については犬、牛、猫、兎、馬等の合計147例の創傷被覆治療及び創腔内充填製材として使用したところ、治癒率は88-90%と高く、キチンを用いない場合と比較して良好な治癒効果が認められた。キトサン製材についても牛、犬、猫の157の症例に応用し、86-100%の高い治癒率を達成できた。但し、犬はキトサン製材に過敏であるため、その使用にあたっては、オーバードースにならないよう適性量の使用が必要であった。 平成3年〜5年度に行った研究成果を科学研究費補助金研究成果報告書(冊子体)に下記の5項目としてまとめた。 1.キチン錠剤からの薬物(オキシテトラサイクリン塩酸塩)の徐放性、 2.医用材料指向キチン、キトサン各種成形体の開発、 3.キチン、キトサン各種成形体の獣医領域への臨床応用、 4.キチン、キトサンの多形核白血球への効果、 5.キチン、キトサンの酵素分解性。
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