研究概要 |
(1)メタクリル酸グリシジルとジビニルベンゼン(DVB)の共重合により球状樹脂(RG)を合成した。RGをクロロヒドロキシル化したのち(この樹脂を以下RCGと略記する),アルキル鎖の異なるN,N-ジメチルアルキルアミンを反応させて第4級アンモニウム基を有する樹脂を製造し,その抗菌性をE.coliを用いて検討した。対イオンとしてOH^-を有するOH型樹脂では,抗菌性の順序はRCG-DMOA>RCG-DMDA>RCG-DMHDAであった。ここでDMOA,DMDAおよびDMHDAはそれぞれ導入したジメチル(オクタデシル,ドデシル,ヘキサデシル)アミンをあらわしている。Cl型樹脂ではその逆の順になった。これらの樹脂はグラム陽性菌であるB.subtilisに対しても同様の抗菌性を示した。これらの抗菌作用機構を解明するために種々の実験を行った結果,OH型樹脂では樹脂から遊離したOH^-が主に抗菌性に関与すること,またCl型樹脂では菌体との吸着力が強いと考えられる第4級アンモニウム基中のアルキル基の長いものほど樹脂と菌体との接触が大きくなり,抗菌作用が大きくなるものと推察された。(2)RCGにトリブチルホスフィンを導入した樹脂(RCG-TBA)とトリエチルホスフィンを導入したRCG-TEPより高い抗菌性を示した。この樹脂においてもOH型樹脂が高い抗菌性を示した。(3)スチレン-DVB共重合体をクロロメチル化した樹脂(RCS)にポリエチレングリコール(PEG)をスペーサーとして導入した第4級アンモニウム基を有する樹脂(RCG-PEG-DMDA)では,Cl型およびOH型いずれの樹脂でも,PEGの長さには無関係に,DMDAの導入量の多いものほど高い抗菌性が認められた。しかしその抗菌性は大きいものではなかった。フェノール誘導体を導入した樹脂では,没食子酸を導入した樹脂において,0.D._<660>が経時的に増加する現像が見られ,菌体の凝集が起こっていることが示唆された。
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