研究分担者 |
飛松 浩樹 東陶機器(株), 基礎研究所, 研究員
大森 広美 九州大学, 工学部, 教務員
野田 英彦 九州大学, 工学部, 助手 (00112409)
深井 潤 九州大学, 工学部, 助教授 (20189905)
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研究概要 |
潜熱畜熱材を充填した畜熱槽に,熱媒体を流入させて畜熱材と直接接触熱交換し,加熱された熱媒体を減圧下のフラッシュ室へ円管ノズルを通して導き,スプレーフラッシュ蒸発を誘起させることより蒸気を取得するシステム,すなわち新規に考案した潜熱畜熱・フラッシュ蒸発ハイブリッドシステムについて,その非定常的な熱的動特性を究明する実験を行い,畜熱槽流出熱媒体温度,蒸発効率及び取得蒸気量に関する知見を得た.畜熱材には特別に調整した低融点架橋ポリエチレンを,熱媒体には水を用いた.本畜熱材は,ポリエチレンにエチレン酢酸ビニルをランダムに共重合させたものであり,従来の融点124℃の高密度ポリエチレンより潜熱は減少するが,融点(凝固開始温度)は95℃とかなり低いので,システムを低圧に保持できる.また,架橋度が高いので,畜熱材相互の融着による熱媒体流路の閉塞は生じなかった. 畜熱槽内の非定常熱移動現象について数値解析を行い,畜熱槽流出熱媒体温度の経時変化が精度良く推算できることを示した.ついで,スプレーフラッシュ蒸発の蒸発効率は,熱媒体のフラッシュ室流入温度(畜熱槽流出温度)が高いほど,あるいは流量が大きいほど高くなること,過熱度が5℃以上では90%以上の極めて良好な蒸発が誘起されることを実験的に明らかにし,瞬時に多量の蒸気を効率よく取得しうることを示した.また,蒸発効率に及ぼす過熱度とフラッシュ室内滞留時間との関係を整理し,それらを予測する経験式を導出した.これらの結果から,取得蒸気量の経時変化が推算可能となり,スケールアップ時のシステムの挙動の予測方法も確立した.本システムは,畜熱エネルギーの95%以上を蒸気取得に有効利用でき,優れた省エネルギー効果をもたらすことが明らかになった.
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