研究課題/領域番号 |
03556003
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
平沢 正 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30015119)
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研究分担者 |
大川 泰一郎 東京農工大学, 農学部, 助手 (80213643)
石原 邦 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014925)
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キーワード | 茎の水の通導抵抗 / 根の水の通導抵抗 / 根圧 / 葉の水ポテンシャル / 光合成速度の日中低下 / 急性萎凋 / 水稲 / キュウリ |
研究概要 |
作物の水の通導抵抗は、葉の拡散伝導度、光合成速度の日中低下と密接に関係するだけでなく、環境条件の著しい変化に伴っておこる葉や穂の急激な萎凋、枯死とも関係し、圃場における作物の生育や収量を考える時には無視することのできない生理、生態的パラメ-タである。本研究はこのような作物の水の通導抵抗を器官別に正確に、そして簡易に測定する方法を開発することにある。以下は本年度の成果の大要である。 1.茎の下端に所定の水圧(P)をかけ、茎を通って他の端より出てくる単位時間当りの水の量(V)を測定することによって茎の水の通導抵抗(R)を求めることができる(R=P/V)。これに基づき装置を作成し精度を検討した。(1)キュウリの茎ではVは1barの水圧では時間とともに急激に減少したが、0.12barの水圧では一定であった。水稲の茎では0.3barの水圧でVは比較的大きく、時間の経過に伴うVの減少は小さかった(平沢)。(2)急性萎凋がおこり葉の水ポテンシャルが著しく低下したキュウリの茎の水の通導抵抗は、急性萎凋の認められないキュウリに比べてとくに茎の基部で著しく大きかった(石原)。(3)晴天の日中著しく萎凋し、気孔が閉じ光合成速度が低下する水稲の突然変異種の茎の水の通導抵抗は、萎凋しない水稲に比較して著しく大きかった(大川)。(4)以上の結果、今後さらに改良を加える必要はあるが、本装置により茎の水の通導抵抗をかなり精度高く測定できることがわかった。 2.根圧(RP)と出液速度(RE)とから根の水の通導抵抗(RR)を求めることができる(RR=RP/RE)。根圧を自動測定する装置を作成し、水稲を用いて検討したところ、根圧は、(1)根群の一部を切断すると急激に小さくなる、(2)登熟がすすむと小さくなる、ことが明らかとなった(平沢)。今後はこの装置に出液自動測定装置を加えた根の水の通導抵抗測定装置を作成し、品種間比較などを通じて精度の検討を行う。
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