研究概要 |
1)‘平核無'カキ果実を供試して(O_2+エタノールによる高速脱渋を,約1100l容器に240kg(約1300個)処理果実でスケールアップして行い,規模の大型化にともなう諸条件を検討した。また,可溶性タンニンをコンピューター画像で数値化して,脱渋程度の客観的評価を試みた。 2)10月12日および10月25日収穫果実は,後保温後6日目でも脱渋が遅れる傾向を示したが,エタノールを追加注入すると後保温後3日目に全てが脱渋した。10月3日収穫果実(赤道部カラーチャート値:3.5)は脱渋が早く,後保温後3日目には脱渋した。 3)10月12日収穫果実について容器内上段に置いた果実は後保温後5日目に,中段では7日目にそれぞれ脱渋したが,下段に置いた果実は後保温後7日目においても完全には脱渋しなかった。 4)容器内の上段に置いた果実は,処理開始時に果実温度が35℃になったが,下段の果実温度は25℃にとどまった。また,注入エタノールは全てが蒸散することなく,タイトボックスのそれと比べて,CO_2+エタノール同時注入後の容器内エタノールガス濃度およびアルデヒドガス濃度ともに低くかった。 5)‘紋平'カキ果実も同様に後保温後4日目に完全に脱渋し,かつ適食時期が3〜4週間後で居持ち性が極めて優れた。 6)可溶性タンニンをタンニンプリントで評価するうえで,画像解析を用いると高い精度で,簡単,迅速に客観的評価を行うことができた。 7)脱渋装置を大型化すると,脱渋速度が遅くなるのは,果実温度の上昇速度が低下し,エタノールガス濃度が低いことによると考えられた。加温装置とエタノール処理の方法を改良することが必要である。
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