研究課題/領域番号 |
03556006
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
久保田 尚浩 岡山大学, 農学部, 助教授 (70033272)
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研究分担者 |
富田 栄一 和歌山県果樹園芸試験場, 紀北分場, 場長
田村 文男 島取大学, 農学部, 助手 (50217197)
板村 裕之 島根大学, 農学部, 助教授 (80109040)
弦間 洋 筑波大学, 農林学系, 助教授 (70094406)
片岡 郁雄 香川大学, 農学部, 助教授 (60135548)
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キーワード | 果樹 / 休眠打破 / 促成栽培 / 温度 / 化学物質 / イオウ化合物 / 打破のメカニズム |
研究概要 |
1.ニンニク中の休眠打破有効成分:GCーマスによりニンニク中のイオウ化合物を分析したところ、硫化ジアリル、2硫化ジアリル、3硫化ジアリルなどのアリル基をもった物質が種々同定されたが、その揮発物では3硫化ジアリルは検出されなかった。従って、ニンニクの揮発性物質がブドウの芽の休眠打破に有効であることを考えると、ニンニク中の休眠打破有効成分は2硫化ジアリルと推察される。2.切り枝に対する化学物質処理:モモの場合、ガーリックオイル10倍液で発芽が促進された。カキの場合、石灰窒素20%液とメリットブルー2倍液では発芽が促進されたが、ジベレリン500ppmでは効果がなく、またガーリックオイル原液〜10倍液では芽が枯死した。3.鉢植え個体に対する休眠打破処理:根箱に植えたモモを12月と1月から加温したところ、いずれの時期とも発根が発芽に先行した。また、1月から加温したモモについて化学物質処理を併用したところ、石灰窒素とガーリックオイルではそれぞれ加温開始後24日と30日で発芽した。9月に摘葉処理したモモでは発芽が促進された。カキについて加温時期を変えて化学物質を処理したところ、いずれの時期とも休眠打破効果は石灰窒素で最も大きく、ガーリックオイルで小さく、またジベレリンで抑制された。4.休眠打破のメカニズム:ニホンナシの加温栽培樹と露地栽培樹について芽内の脂質代謝をみたところ、前者ではリノレン酸の割合が高く、また不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比も高かった。このことから、加温栽培樹と露地栽培樹とでは休眠導人期〜完了期において芽の呼吸、物質の輸送・代謝、ホルモンの受容等に影響する生理機能に差異が生じたことが考えられる。さらに、ニホンナシの芽の呼吸に関与する酵素活性を調査したところ、G6PDH活性は休眠導入期から最深期にかけて低く、自発休眠打破後に急上昇した。このG6PDH活性の上昇は休眠打破期においてベントースリン酸回路の呼吸に占める割合が高いことを示唆しており、この変化が休眠打破と密接に関係していると思われる。
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