研究概要 |
オリザシスタチンは、申請者らが、コメの種子より精製した植物では最初のシスタチンである.オリガシスタチンの標的となるシステインプロテアーゼとして、コメ種子中に存在する内在性システインプロテアーゼ(オリザイン)に関しても、申請者らは、詳細に研究をし、既に報告している。しかし、オリザシスタチンの標的となるプロテアーゼは,内存性のものばかりではなく、外部から侵入してくる外敵に対する防御因子として働いている可能性も孝えられる。そこで、申請者らは、オリザシスタチンのcDNAを用いて、オリザシスタチンを大腸菌で発現させ、大量生産をして、コメの害虫であるRiptortus clavas(カメムシ)と、Sitophilus oryzae(コクゾウムシ)の餌にオリザシスタチンを加えたところ、有意にこれらの虫成長を抑制した。そこで、これらのムシに存在するシステインプロテアーゼを、オリザシスタチンが阻害し、ムシの成長を抑制した可能性が示唆されたので、申請者らは、コクゾウムシの消化管に存在するシステインプロテアーゼのクローニングを行い、オリザシスタチンの作用機作を探ることとした。クローニングは、当研究室でcDNAクローニングに成功したオリザイン(前出)をプローブとして、コクゾウムシのゲノムライブラリーを、スクリーニングして、システインプロテアーゼの活性トライアドであるヒスチジン、アスパラギン、システインの三残基をコードするクローンを得ることができた。現在、このクローンをもとに、コクゾウムシのcDNAライブラリーを、スクリーニング中であり、コクゾウムシのシステインプロテアーゼの解明は、間近になりつつある。
|