研究課題/領域番号 |
03556020
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
塚本 良則 東京農工大学, 農学部, 教授 (60014924)
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研究分担者 |
福永 健司 東京農業大学, 農学部, 助手 (30147475)
山寺 喜成 東京農業大学, 農学部, 助教授 (60078144)
窪田 順平 東京農工大学, 農学部, 助手 (90195503)
峰松 浩彦 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60011988)
中村 浩之 東京農工大学, 農学部, 教授 (90242239)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 樹木根系 / 急斜面 / 森林 / 斜面補強効果 / 樹木根系のモデル化 / 理論的研究 |
研究概要 |
本研究のとりまとめの結果、以下の点が明らかにされた。 1)樹木根系の分布調査とそのモデル化 斜面安定、すなわち崩壊防止効果を考えるとき、樹木の根系分布は表層近くに集中する水平根がネットのように平面的に主として表層の侵食防止の役目を果たし、垂直根がそれを貫き基盤付近まで達する短杭としてアンカーのように直接斜面の安定に寄与するモデルを考えることができる。スギ林地の詳細な根系分布の調査によれば、斜面上における樹木の根系伸長の特徴は山側(斜面の奥方向)に伸びる根が発達することで、斜面表層土の保全上草本植物と異なり、特に有効であることが確認された。ただし、垂直分布としての根の量は表層付近に集中しており、必ずしも斜面安定には寄与せず、水平分布も等高線方向に比べ流線方向の割合が少ないことが指摘された。また根の分布を大きく左右する表層土の堅さの測定について、根の分布との対応を考える上で積算Nc値が有効であることが示唆された。 2)樹木根系の斜面補強効果に関する理論的研究 土中に伸びた根の斜面補強効果について理論的考察を行った。またこれに加えて、挿入鉄筋、鋼管杭、アンカー材等についても同様に解析を行い、比較検討を加えた。こうした補強材による効果は、(1)補強材の曲げ剛性に起因する効果、(2)補強材の付着力に起因する効果に分けられる。既に述べたように樹木の根系分布は、主根(鉛直根)が一定間隔で下層土まで打ち込まれた杭に相当し、水平根がこれをネットのように平面的に固定する役割を果たしている。斜面の補強材としては形態的には理想に近いものと考えられるが、材料の持つ強度、堅い下層土には十分に伸長しないなどの限界も合わせ持つ。 3)急斜面に森林を成立させるための緑化基盤補強工法に関する指針 人工斜面において樹木の根を崩壊防止に役立たせるためには、根系の発達を促す必要がある。そのためには根系分布の調査からも明らかなように、表土がある程度柔らかい必要がある。しかしそれ自体が斜面の不安定化を招き、また材料的な強度からくる限界もあるため、適宜人工構造物による補強を併用する必要がある。本研究で提示された理論的検討手法を発展させて、樹木の根と人工構造物とを併用した斜面補強工法の設計を行うことが可能である。
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