地震時地すべりを試験機内で再現するためには、斜面に平常時にかかっている応力に地震時にかかる繰り返し応力を載荷できなければならない。また、任意の方向の地震力を載荷するには、垂直応力を載荷する電空変換器(EP)だけでなく、せん断を与えるサ-ボモ-タ-をトルクで制御しなければならない。種々の検討と予備試験の結果、せん断応力載荷には山洋電機のACサ-ボモ-タ-、垂直応力載荷には藤倉ゴム社のベロ-フラムシリンダ-とEPの組み合わせ、地すべり応力を発生するための指令電圧はパソコンとカノ-プス社の波形発生ソフトを組み合わせることにより可能になった。現在、せん断応力が若干ふらつく欠点があるが、さらに調査したところ、安川電機のDCサ-ボモ-タ-を用いればこのふらつきがなくなることが分かったので、交換を予定している。今一つの重要点である固定上部リングと回転下部リングの間のギャップを絶えず一定に保つための自動ギャップ制御システムはギャップに用いたシリコンゴム製のエッジの効果とあいまって試験中サンプルの漏れを防ぎ、かつせん断抵抗を無視し得るものにする所期の目的を達成できた。しかし、シリコンゴム表面にマサツを減少させるためにコ-ティングするテフロンの密着度があまり良くなかったが、さらに調査したところ軟質クロロプレンゴムが同程度のやわらかさを持ち、かつテフロンの密着度が極めて良好であることが分かったのでこれをテスト中である。今後の研究課題として、指令電圧がサンプル中に所期の応力を発生させなかった場合、応力の測定結果をパソコンに送り返し、その差額だけさらに指令電圧を変えることを検討している。しかし、これらの残された改良点はあるが、1月15日までに一連の試験を終え、その結果を1992年2月10-15日に開かれた第6回国際地すべりシンポジウムの「地震と地すべり」の分科会における「テ-マ講演」で発表した。
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