研究課題
試験研究(B)
間伐材、林地残材、木材工業残廃材、未利用材、樹皮等の有効利用のひとつとして、熱変換による新素材の開発を試みた。高温焼成によって得られたこれらの炭素粉末に高い耐火・耐熱、耐酸化性、高熱伝導性、高電気伝導性のあることを見い出し、これらをオーバーレイしたパーティクルボードの耐火性能が不燃性材料をオーバーレイしたそれより格段にすぐれていることを示した。間伐材の高温焼成炭の成型性を高めるために粒径1〜2000μmの範囲で任意に調製できる炭素・熱硬化性樹脂自硬化性顆粒体(CPS)の製造方法を確立した。この顆粒体によって調製した炭素ボードは約1300℃、火炎気流速度2kgf/cm^2、火炎長20cmの高速火炎に対して2〜24時間の耐火炎貫通性があり、2800〜3200℃の酸素・アセチレントーチの溶断試験においてこのボード(比重0.8〜1.5)が同厚のステンレス板(SUS304、比重8.0)の8〜15倍の耐溶断性のあることを確認した。また、このボードの電磁波遮蔽性能は鉄板、アルミニウム板等の金属板よりはるかにすぐれており、電磁波遮蔽性耐火複合材料素材として最も適当な材料であることを確証した。スギ、ヒノキ間伐材、同樹皮、竹類によって調製した高温焼成炭の電磁波遮蔽性能は天然グラファイトのそれよりはるかにすぐれており、その性能は焼成温度の上昇によって顕著に向上し、銅板同等の性能を示した。この性能発現は焼成炭の導電性向上にもとづくことが、平成3年度設置したレーザーフラッシュ法熱定数測定装置によって確認された。絶縁性が高く遮蔽性能の低い木質に対して小片の金属メッキや金属化キャリアによる接着層の導電化を施すことによって遮蔽性能は格段の向上をみせた。CPSをオーバーレイしたパーティクルボードの電磁波遮蔽性能は厳しい米国陸軍規格にも容易に合格し、これによって製造した耐火扉はISO規格に準拠した実大燃焼試験において世界最高の耐火性能を示した。複合素材のうち木質の導電性付与には金属キャリアによる接着層の導電化や木質の金属メッキのそれによって可能となり、複合材料に高度の電磁波遮蔽性能を付与することができた。
すべて その他
すべて 文献書誌 (16件)