研究概要 |
1.1週齢ラット卵巣をガラス化法によって-196℃に冷却した。これらの卵巣を卵巣除去成熟雌ラットの両側卵巣嚢内に移植した。移植された17匹のうち12匹(71%)で片側または両側に卵巣様組織の発育と卵胞の発育が認められた。移植されたラットの12匹のうち6匹(50%)で正常な発情が認められたが、産子は得られなかった。移植技術に問題があると思われる。 2.ヤギ卵巣小片を緩慢冷却またはガラス化法で-196℃に冷却した。ジメチルスルフォキサイドの存在下で緩慢冷却したときに卵巣組織はもっとも良好に保存された。 3.牛卵母細胞の体外受精率を高めるための諸条件について検討した。蛋白質を含まない化学合成培養法を用いた体外受精では、アミノ酸,リン酸塩,ピルビン酸塩,乳酸塩が不可欠であり、受精卵の発生にはグルコースが必要であることが明らかになった。 4.牛卵胞から採取した卵母細胞を培養、体外受精して得た胚盤胞を、ガラス化法で-196℃に冷却後に雌牛に移植して産子をえた。体外受精由来の胚盤胞を、40%のエチレングリコール(EFS),グリセロール(GFS)又はプロピレングリコールを含むガラス化液で-196℃に冷却後の生存率はそれぞれ77,72および33%であった。体外受精卵をEFSおよびGFS液中でガラス化後に雌牛に移植した。移植された14頭のうち10頭(71%)が妊娠し、21%(6/28)の産子率をえた。
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