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1992 年度 実績報告書

ホスファターゼ阻害剤の研究試薬としての実用化

研究課題

研究課題/領域番号 03556040
研究機関東京大学

研究代表者

唐木 英明  東京大学, 農学部, 教授 (60011912)

研究分担者 馬替 純二  東京工業大学, 生命理工学部, 講師 (60199643)
堀 正敏  東京大学, 農学部, 助手 (70211547)
尾崎 博  東京大学, 農学部, 助教授 (30134505)
塩田 邦郎  東京大学, 農学部, 助教授 (80196352)
伏谷 伸宏  東京大学, 農学部, 教授 (70012010)
キーワードホスファターゼ / 平滑筋 / 海産毒
研究概要

平成4年度は、新たなホスファターゼ阻害剤の検索を行いとともに、既にホスファターゼ阻害作用を明らかにした海綿由来のカリクリンAを研究試薬として用いて、3T3線維芽細胞(以下3T3細胞)における形態変化に蛋白質のリン酸化-脱リン酸化がいかに関与しているかについて検討した。
カリクリンA(0.1μM)を3T3細胞に処置することにより、可溶性ならびに不溶性の蛋白質がリン酸化され、このリン酸化は外液のCa^<2+>を除去しても生じた。このサンプルをニワトリ筋胃由来のミオシン抗体を用いて免疫沈降反応させて得られた沈殿物には数種の細胞骨格系の蛋白質が含まれていた。そのなかで、カリクリンAはミオシンの20-kDの軽鎖、ビメンチンならびに未確定の440-kDの蛋白質をリン酸化していることが明らかとなった。ビメンチンのリン酸化はカリクリンAを処置した3T3細胞から抽出した中間系フィラメント構成蛋白質のなかにおいても有意に認められた。
つぎに3T3細胞がカリクリンAによってどの様な形態学的変化を生じるかいなかについて検討した。3T3細胞はカリクリンAの処置により数分で細胞の接着に重要な役割を果たしている突起が消失して、ボール状に形態変化をきたした。また、この細胞の突起を構成している中間径フィラメント、微小管ならびにアクチン線維を主体としたストレスファイバーは形態変化を生じた細胞においては消失していた。そして、正常細胞にはない直径2-3μmのボール状の構造物が核近くに認められた。
以上の成績から3T3細胞の形態変化に蛋白質のリン酸化-脱リン酸化が重要であることが示唆された。とくに細胞接着に関与する突起を形成している中間径フィラメントのひとつであるビメンチンのリン酸化が認められたが、ビメンチンはAキナーゼやCキナーゼによってリン酸化されると脱重合されることが報告されており、この形態変化に重要な役割を果たしているものと考えられた。
この様にカリクリンAを用いて細胞の形態変化、とくに細胞骨格系におけるリン酸化-脱リン酸化による制御についての研究を進めてきたが、大動脈平滑筋由来のA10細胞におけるカリクリンAの作用についても現在研究を進めている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Usuki,T.,Obara,K.,Someya,T.,Ozaki,H.,Karaki H.,Fusteani,N.and Yabu,H.: "Calyculin A increases voltage-dependent inward current in smooth muscle cells isolated from guinea pig taenia coli." Experientia. 47. 939-941 (1991)

  • [文献書誌] Shibata,S.,Satake,N.,Morikawa,M.,Kown,S.,C.,Karaki,H.,kurahshi,K.,Sawacla.T.and Kodama.I.: "The in hibitory action of okadaic acid on mechanical responses in gumea-pig vas deferens." Eur.J.Pharmacol.193. 1-7 (1991)

  • [文献書誌] 堀 正敏,唐木 英明: "化学と生物30巻3号" 東大出版会, 9 (1992)

  • [文献書誌] 唐木 英明: "海洋資源と医薬品2" 広川書店, 11 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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