DNA合成装置(アプライド・バイオシステム社、モデル391)を購入し、世界的に広く使用されている合成法を本試験研究でのシステム開発に応用できるように試みた。本研究センターで確立しているin situハイブリダイゼーションの信頼できるプローブとして、バゾプレッシンcDNAのうち30merのオリゴヌクレオチドを合成し検討材料とした。非放射性標識物質としてビオチンをとりあげた。ビオチンをcDNAに組み入れる原理として、(1)ブロモデオキシウリジンをcDNAに組み込み合成し、その後でビオチン化ブロモデオキシウリジン抗体を用いる方法、(2)フォトアフィニティー標識法によるビオチン化プローブの作成、(3)ビオチン化ATPまたはビオチン化UTPを用いてプローブをPCR法により標識する手技、(4)3'末端に活性化第一級アミンを結合する方法、(5)6炭素鎖末端にアミンを導入したAH-ビオチン結合法、などを考案または検討した。(1)と(2)は自動化システムとしては実用化には不適であり、(3)はノーザンブロッティングなど化学的研究法にに適するプローブが容易に作製でき、さらに(4)と(5)はin situハイブリダイゼーションに最適のプローブが作成可能であるという実験結果を得た。とくに(5)の方法では、市販のビオチンONという試薬を用いて、3'末端のみならず5'末端あるいはプローブ配列中の任意の核酸と置換できることが判明した。したがって、当初の目的は達成されたといえる。さらに最終年度ではin situハイブリダイゼーションに適した実用的なビオチン導入量比の決定を行い、次いでバゾプレッシン以外のプローブについて応用範囲の広い安定した反応条件を確立することができた。この完成法を用いて、コリンアセチル基転移酵素の証明を行いつつある。
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