紫外レーザーを応用した共焦点顕微鏡の開発と細胞内Ca^<2+>測定への応用

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03557003
• 研究機関: 佐賀医科大学
• 研究代表者: 久場 健司 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (60080561)
• 研究分担者: 林 尚久 大日本スクリーン製造(株), 技術研究所, 開発三課主任 ; 能見 光雄 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (80117209)
• キーワード: 紫外レーザー共焦点顕微鏡 / 細胞内Ca^<2+> / Ca^<2+>遊離チャネル / 細胞内Ca^<2+>貯蔵部位 / インド-1 / 交感神経節細胞 / Ca^<2+>チャネル / Ca^<2+>-誘起性Ca^<2+>遊離

研究概要

初年度の研究で、2つのタイプの紫外レーザーを応用した共焦点レーザー顕微鏡システム(UV-CLSM:ニコン倒立顕微鏡光学系を改変したシステムと新しく開発した反射対物レンズを主としたシステム)がほぼ完成したので、今年度は、生きた細胞を使った性能試験とニューロンでの細胞内Ca^<2+>([Ca^<2+>]_1動態に関する新しい知見を得るための実験を行った。
培養したウシガエル交感神経節細胞にIndo-1を負荷し、351nmでの励起による412と475nmでの蛍光像(F_<412>とF_<475>)をX-Y走査(ステージ面)とx-t走査(一次元繰り返し走査)により記録し、以下に示すUV-CLSMの性能と[Ca^<2+>]_1動態に関する知見が得られた。
1)高K^+(40〜60mM)液により、F_<412>とF_<475>の比により示される[Ca^<2+>]_1の増加が細胞体と神経突起とその末端で見られた。これらの蛍光像で、1μm以下と考えられる微細な変化も観察された。
2)パッチクランプを応用し、脱分極パルスによるCa^<2+>電流とx-t走査による[Ca^<2+>]_1変化の像を記録し、細胞膜直下から細胞質深部への[Ca2+]_1上昇の伝播を観察し、その伝播速度が膜直下で速く(40μm/sec)、深部で遅い(20μm/sec)ことが解った。この伝播速度はCa^<2+>遊離チャネル阻害剤であるライアノジンで遅くなることが解った。
3)Ca^<2+>遊離チャネルの活性剤であるカフェインの濃度ジャンプにより起こる[Ca^<2+>]_1振動をx-t走査により記録し、Ca^<2+>誘起性Ca^<2+>遊離は、細胞膜直下で強く起こることが解った。

研究成果

• [文献書誌] Mitsuo Nohmi: "Basal Ca^<2+> and the oscillation of Ca^<2+> in caffeinetreated bullfrog sympathetic neurones." Journal of Physiology (London). 450. 513-528 (1992)
• [文献書誌] Konomi Koyano: "A patch-clamp study on the muscarine-sensitive potassium channel in bullfrog sympathetic ganglion cells." Journal of Physiology (London). 454. 231-246 (1992)
• [文献書誌] Mitsuo Nohmi: "Intracellular calcium dynamics in response to action potentials in bullfrog sympathetic ganglion cells." Journal of Physiology (London). 458. 171-190 (1992)
• [文献書誌] 簑田 昇一: "アセチルコリンレセプターチャネル・イオンチャネルのすべて." Clinical Neuroscience. 10. 416-420 (1992)
• [文献書誌] Kenji Kuba: "Intracellular Ca^<2+> dynamics in response to Ca^<2+> influx and Ca^<2+> release in autonomic neurones." Canadian Journal of Physiology and Pharmacology. 70(Suppl.). S64-S72 (1992)
• [文献書誌] Shao-Ying Hua: "Characteristics of Ca^<2+> release induced by Ca^<2+> influx in clutured bullfrog sympathetic neurones." Journal of Physiology (London). 464. 247-272 (1993)
• [文献書誌] Shigeto Hara: "Mechanical modulation of a voltage-dependent noninactivating K^+ current in cultured bullfrog sympathetic neurones." Pflugers Archiv. 422. 305-315 (1993)